Skip to main content

創り手をめぐる「Roots of wamca」#03 伊吹山の薬草を育てる、農家さんたちのこだわり

創り手をめぐる「Roots of wamca」#03 伊吹山の薬草を育てる、農家さんたちのこだわり

wamcaのハーブブレンドの土台となっている、伊吹山の薬草。古くから薬草の産地として知られる伊吹山では、厳しい冬を越した植物たちが、力強く育っています。

今回お話を伺ったのは、そんな伊吹山で薬草を育て、収穫から洗浄、乾燥まで、一つひとつ丁寧に向き合うつくり手の方々。一見すると同じように見える薬草も、いつ刈り取るか、どう運ぶか、 どのように乾かすか 。その一つひとつで、香りも状態も変わっていく。wamcaのブレンドの背景にある、伊吹山の薬草づくりについてお話を伺いました。

 

少ない量でも、しっかりと感じられる。伊吹山の薬草が持つ魅力

—伊吹山の薬草には、どんな特徴がありますか?

伊吹山の薬草は、少ない量でもしっかりと感じられることが特徴のひとつだと思います。よもぎ蒸しに使ったときも、ただ香りを楽しむだけではなく、蒸した後の身体に残る心地よさがある。

実際に使ってみると、「なんだか違う」と感じてもらえることが多いんです。だからこそ、量をたくさん使えばいいということではなく、植物そのものの質を大切にすることが重要だと考えています。

 

見た目の美しさより、植物そのものを。

—収穫するときに、大切にしていることはありますか?薬草は、葉だけを使うこともできます。葉だけを揃えると、見た目はとても綺麗です。でも、私たちはできるだけ軸まで含めて刈り取ることを大切にしています。葉だけでは、なかなか香りが出ないのです。植物は、土から栄養を吸い上げ、軸を通して葉へと育っていきます。その植物が育ってきた過程も含めて、できるだけそのまま届けたい。だから、伊吹山の薬草は軸ごと刈り取ります。その分、年に何度も収穫できるわけではありません。一年に一度、そのタイミングを見極めて、大切に収穫しています。

さらに、伊吹山は、冬になると厳しい寒さに包まれます。積雪量の記録を持つほど、雪の多い場所でもあります。そんな厳しい冬を越えた植物たちは、春から夏にかけて力強く成長していく。何年も伊吹山で薬草と向き合っていると、植物がこの土地の環境の中で育っていることを、日々感じます。だからこそ、伊吹山で育った薬草を、できるだけそのままの状態で届けたいのです。そのために、収穫した瞬間から、乾燥するまでの時間も大切にしています。

 

収穫した瞬間から、鮮度との戦い。

薬草は、刈り取ったら終わりではありません。むしろ、そこからが大切。収穫した薬草は、鮮度を保つために水につけた状態で運びます。

そして洗浄するときには、浄水器を使った水で一つひとつきれいにしていく。薬草づくりにおいて、「鮮度」はとても重要な要素です。生薬という言葉がありますが、それは採取した植物をきれいにし、適切な状態にしていくことも含まれています。だからこそ、洗うことも、干すことも、ただの作業ではありません。植物を次の状態へつなぐための、大切な工程なのです。

実は、薬草づくりで、最も気を使うもののひとつが湿度です。乾燥させるためには、湿度が低い方がいい。でも、乾燥させすぎてもいけない。そのちょうどいい状態を、最終的には手で触って長年の感覚で判断します。

それと天気予報も欠かせません。例えば、翌日が雨だと分かっている日には、無理に収穫をしない。一日置いてでも、次に晴れるタイミングを待つ。それほど、「刈り取った後の天気」まで考えて収穫することが大切なのです。雨が続くときには、除湿機を使いながら室内で乾燥させることもあります。植物の状態と天気を見ながら、その日の作業を決めて行くので、薬草づくりにはマニュアルだけでは決められない、経験と感覚が必要になります。

 

乾燥も、薬草ごとに異なる。

伊吹山には、薬草とともに生きてきた歴史がある。

伊吹山と薬草の関わりは、今に始まったものではありません。織田信長の時代には、伊吹山に薬草園がつくられ、西洋からさまざまな薬草が持ち込まれたという伝承も残されています。

その後も、薬草は人々の暮らしの中にありました。先祖たちは、収穫した薬草を背負い、各地へ量り売りに出かけていたそうです。一度売りに出ると、帰ってくるまでに一週間ほどかかることもあった。それだけ、薬草を必要とする人がいたということです。長い時間をかけて受け継がれてきた薬草と、人との関係。伊吹山では今も、その続きをつくるように薬草づくりが行われています。

—どんな人に、伊吹山の薬草を届けたいですか?

身体の不調を感じている方や、植物の持つ力をきちんと知りたいと思っている方に、ぜひ届けたいと思っています。だから、薬草を扱いたいという相談があったときには、できるだけ一度、伊吹山まで来てもらうようにしています。写真だけでは伝わらないものが、ここにはあるから。実際に伊吹山まで足を運んでくれた人は、帰るときに、「来てよかった」と言ってくれることが多い。それは、山の空気や、植物が育っている場所を実際に見て初めて分かることなのかもしれません。

 

何年経っても、何度も足を運びたくなる伊吹山

伊吹山は、長くそこで仕事をしていても、不思議とまた足を運びたくなる場所で、何年も山の中で薬草と向き合っているのに、そこから力をもらうそうです。植物を育てているはずなのに、こちらもまた植物や山から力をもらっている。そんな関係が、伊吹山にはあります。

伊吹山の薬草を土台に、香りや植物の特徴を組み合わせながら生まれたwamcaのブレンド。
その背景には、調合する人だけではなく、植物を育て、収穫し、洗い、乾かす人たちの手仕事があります。一袋のハーブを開けたときに感じる香り。蒸し始めたときに広がる香り。そして、30分を過ごした後に感じる心地よさ。そのひとつひとつの裏側には、伊吹山という土地と、そこに向き合うつくり手たちの時間があります。

wamcaが届けたいのは、ただの「ハーブ」ではありません。伊吹山で育った植物と、そこに込められた時間ごと、自分を緩める30分へ。忙しい毎日の中で、少し立ち止まる。植物の香りに包まれながら、自分の身体に目を向ける。その時間が、また自分らしく日々を過ごすための、小さなきっかけになりますように。